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A2017アルミニウム合金の特性と活用

A2017は「ジュラルミン」として広く知られているアルミ合金で、アルミニウムに銅やマグネシウムなどを添加することで、高い強度と優れた加工性を両立させた特性を持つ素材です。航空機部品や自動車部品といった軽量化と高強度が求められる分野から、機械部品や精密機器、さらには身近なアウトドア用品のフレームに至るまで、幅広い用途で活用されています。その優れた切削加工性は、精密な部品製造において高い評価を受けています。しかし、銅を多く含むため耐食性には課題があり、使用環境によっては適切な表面処理や防食対策が不可欠です。

A2017アルミニウム合金とは

A2017は、JIS(日本工業規格)におけるアルミニウム合金の中でも「ジュラルミン系」に分類される代表的な素材です。これはアルミニウム(Al)と銅(Cu)を主成分とするAl-Cu系の合金で、高い強度が得られる特性を持っています。A2017は「ジュラルミン」と呼ばれる最初のアルミ合金を改良した種類であり、マンガン(Mn)やマグネシウム(Mg)を添加することで、元祖ジュラルミンよりも耐食性と加工性が向上し、実用性が高められています。銅の含有量が非常に高いことがA2017の大きな特性であり、この銅の働きによって「析出硬化処理」が可能となり、高い機械的強度を発揮する素材として確立されています。

A2017の基本情報

A2017は「ジュラルミン」の名称で知られるアルミニウム合金の一種で、JIS表記ではA2017と記載されます。この素材は、軽量でありながら高い強度を持つことが特徴です。流通しているA2017の素材としては、丸棒や板など様々な種類があり、それぞれの形状や用途に応じた厚みや板厚で提供されています。A2017は熱処理によって機械的性質を大きく向上させることができる「析出硬化型アルミニウム合金」に分類されます。,最も一般的に使用される調質は「T4(焼入れ+自然時効)」および「T6(焼入れ+人工時効)」で、材料の用途や加工プロセスに応じて選択されます。T4は溶体化処理後に自然時効を行う質別であり、T6は焼入れ後に人工時効を行う質別で、T6処理では人工時効により銅の析出が促進され、非常に高い強度が得られます。JIS規格では、材料寸法によって機械的性質が規定されています。

A2017の化学成分

A2017の主な化学成分はアルミニウム(Al)が残部を占め、銅(Cu)が3.5〜4.5%と高含有されています。,,,その他の主要な添加元素としては、マンガン(Mn)が0.4〜1.0%、マグネシウム(Mg)が0.4〜0.8%含まれています。,,,これに加えて、鉄(Fe)0.7%以下、ケイ素(Si)0.20〜0.8%なども含有されています。,,,特に銅はアルミニウムの強度を高める上で重要な役割を果たす元素であり、その含有量の高さがA2017の特徴となっています。銅はアルミニウムに対して固溶強化の効果を持ち、さらに熱処理によって微細な析出物を生成し、それが結晶の滑りを妨げることで強度が向上します。鉛(Pb)については、A2017の一般的な化学成分表には通常含まれていませんが、特定の用途や規格においては微量に規定される場合があります。A2017の優れた機械的特性は、これらの元素の絶妙な組み合わせと、熱処理による析出硬化によって実現されています。

A2017の物理的特性

A2017アルミニウム合金は、その優れた物理的特性により様々な産業分野で利用されています。まず、密度(比重)は約2.79g/cm³であり、これは鉄やステンレス鋼の約3分の1という軽さです。,,,,この軽さが、航空機や自動車部品など、軽量化が求められる用途でA2017が選ばれる大きな理由となっています。,,融点は約660.4℃(溶融温度範囲は513〜640℃)と比較的高く、高温環境下での使用にもある程度対応できる耐熱性を持ち合わせています。,,,熱伝導率は約201W/m・Kと高く、熱を効率的に伝える特性も有しています。,,ヤング率(縦弾性係数)は約72.6GPaであり、高い剛性を示します。,,これは材料の変形しにくさを示す指標であり、構造材としての信頼性を裏付けています。また、硬度(ブリネル硬さ)はT4処理の状態で約105〜120HB程度であり、純アルミニウム(約65HB)と比較して大幅に向上しています。,,,この硬さにより、A2017は優れた耐摩耗性を持ち、高負荷条件下でも使用されることが多いです。ポアソン比は約0.33、線膨張係数は20〜100℃で23.6ppm/Kとなっています。,,これらの物理的特性は、A2017の多様な用途への適用を可能にしています。

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A2017アルミニウム合金の主な特徴

A2017は、銅(Cu)を主成分とするアルミ合金であり、その最大の特性は軽量でありながら非常に高い強度を持つ点にあります。,,,使用環境によっては、ステンレスや鉄鋼材料に匹敵するほどの強度を発揮することもあります。,,,,また、優れた切削加工性を持ち、精密な加工に適していることも大きな特徴です。,,,,,,,,,このため、A2017は高強度と加工性が求められる様々な機械部品や構造材に広く活用されています。,しかし、銅の含有量が高いゆえに、耐食性が低いという課題も抱えています。,,,,,,,,,,特に湿潤環境や塩害環境下では腐食が進行しやすいため、アルマイト処理などの表面処理による防食対策が必須となります。,,,,,,,,,また、溶接性も他のアルミ合金に比べて劣る傾向があり、溶接熱による割れや強度の低下が生じやすいため、リベットやボルトなどの機械的接合が一般的に選択されます。,,,,,,

A2017の優れた点

A2017アルミニウム合金の最も顕著な優れた点は、その高い強度にあります。これは、主成分であるアルミニウムに銅を多量に添加し、さらに適切な熱処理(析出硬化処理)を施すことで実現される機械的性質です。,A2017は、純アルミニウムと比較して約1.6倍の強度を持ち、条件によってはステンレスや鉄鋼材料に匹敵する強度を発揮するとも言われています。,,具体的な機械的性質としては、引張強さが約390〜530MPa(A2017-T4で425N/mm²),,,,,,,、耐力(降伏点)が約250〜430MPa(A2017-T4で275N/mm²),,,,,と非常に高い値を示します。また、伸びはT4材で10〜20%,,,,と良好な延性を保ちつつ、ブリネル硬さは約105〜130HB,,,に達し、優れた硬度と耐摩耗性も兼ね備えています。これらの特性により、A2017は航空機の構造部品やエンジン部品、各種金型、機械部品など、高い強度と耐久性が求められる幅広い用途で重宝されています。,

A2017の課題点

A2017アルミニウム合金は高強度という優れた特性を持つ一方で、いくつかの課題点も存在します。最も大きな課題は「耐食性の低さ」です。,,,,,,,,,,A2017は銅を3.5〜4.5%と高含有しているため、アルミニウム母材中に銅が固溶・析出することで腐食電位に差が生じ、ガルバニック腐食(異種金属間腐食)が発生しやすくなります。,,特に湿潤環境や塩分を含む環境下では腐食が進行しやすく、局部腐食(ピッティングや粒界腐食)のリスクが高まります。,,このため、A2017を使用する際には、陽極酸化処理(アルマイト処理)やクロメート処理などの表面処理による防食対策が必須となります。,,,,,,,,これらの処理を施すことで耐食性はある程度改善されますが、長期間の屋外使用には注意が必要です。,また、銅の多さは「溶接性」にも悪影響を与えます。,,,,,,,,,溶接熱による割れや、溶接部の強度の低下が生じやすいため、A2017は溶接には不向きな材料とされています。,,,,そのため、A2017の接合には、通常はリベットやボルトなどの機械的接合が推奨されます。,,,,さらに、高強度であるため、加工時に反りや歪みが発生する可能性もあります。

A2017の加工性

A2017アルミニウム合金は、その優れた加工性、特に切削加工性が非常に良好であることで知られています。,,,,,,,,,一般的に材料の強度が高くなるほど切削加工性は低下する傾向がありますが、A2017はこの例外であり、硬質でありながらも切削加工がしやすいため、高精度な加工や美しい仕上げ面を実現できます。,,,,,これは、A2017に添加されているマグネシウムが切削性の向上に寄与しているためです。NC旋盤や高速マシニングセンタを用いた大量生産ラインにおいても、効率と品質の両立が可能な材料として高く評価されています。切削加工時には、アルミ合金の融点が約600℃前後と比較的低いため、加工熱による工具への溶着を防ぐために、切れ刃がシャープな工具を選び、高速切削を行うことで切削抵抗を抑えることが重要です。また、適切なクーラントの使用やエアブローによる冷却も効果的です。切削加工以外にも、A2017は曲げ加工や鍛造加工にも適しています。,,,,,板状のA2017を加工する際には、ロール曲げや板折曲げ、金型を用いたベンダー曲げなど、用途や加工形状に応じて様々な曲げ加工方法を選択できます。鍛造用素材としても利用可能であり、熱処理によって機械的性質を調整することも可能です。,これらの多様な加工性により、A2017は幅広い部品製造に適用されています。

A2017アルミニウム合金の主な用途

A2017アルミニウム合金は、その軽量性と高い強度、優れた加工性を活かし、多岐にわたる分野で活用されています。,,,,主な用途としては、まず航空宇宙産業が挙げられます。航空機や宇宙ロケットの機体構造部品、エンジン部品、リベット類などに使用され、軽量化と安全性の両立に貢献しています。,,,,,,,,,,,,また、自動車産業においても、足回り部品やエンジン周辺部材など、強度と軽量化が求められる部品に採用されています。,,,,,,各種金型、治具、工作機械部材、油圧装置、ギヤ、シャフト、ジョイントなどの産業機器や機械装置の部品としても広く用いられています。,,そのほかにも、精密機器の測定器部品、家屋の窓枠、スーツケース、トランク、自転車部品、釣り具、登山用品などのスポーツ・レジャー用品のフレームやポールといった、私たちの身近な製品にもA2017は利用されています。,,,,,,

A2017と他のアルミニウム合金の比較

A2017はアルミニウム合金の中でも「ジュラルミン」として広く知られていますが、その特性は他のアルミ合金と大きく異なります。アルミ合金は1000番台から7000番台まで様々な種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。A2017は銅(Cu)を主な添加元素とする2000系合金で、熱処理によって高強度化される点が特徴です。,,,,これに対し、他のアルミ合金は添加元素や熱処理の有無によって、強度、耐食性、加工性、溶接性などの特性が異なります。

A5052アルミニウム合金との違い

A2017とA5052は、どちらもアルミニウム合金として広く利用されていますが、その特性には大きな違いがあります。,,両者を比較する際の主要なポイントは「強度」と「耐食性」にあります。,A2017は銅(Cu)を主成分とするAl-Cu系の析出硬化型合金であり、熱処理(特にT6処理)によって高強度化されます。,,,,その引張強さは400MPa以上にも達し、高強度を求める用途においてA5052よりも圧倒的に有利です。,,一方、A5052はマグネシウム(Mg)を添加したAl-Mg系の非熱処理合金(5000系)に分類され、時効硬化処理には対応していません。,,,その引張強さは約250MPa前後であり、A2017には及びません。,,耐食性においては、A5052がA2017よりも大きく優れています。,,A5052はマグネシウムを含有することで自己防錆性能が高く、特に海水や化学薬品に対する耐性が強いため、船舶、車両、配電盤など腐食環境下での使用に適しています。,これに対し、A2017は銅を多く含むため耐食性が著しく劣り、特に湿潤環境や塩害環境下では腐食が進行しやすいため、陽極酸化処理(アルマイト処理)などの表面処理が不可欠です。,,,加工性では、A2017は優れた切削加工性を持つ一方、A5052は曲げ加工や深絞り加工などの塑性加工に適しています。,,溶接性に関しても、A5052の方が優れており、溶接による接合が可能です。これらの違いから、高強度と切削性を重視する場合にはA2017が、耐食性や溶接性、汎用性を求める場合にはA5052が選ばれます。,

他のジュラルミン系合金との比較

A2017は「ジュラルミン」として広く知られるアルミ合金ですが、ジュラルミン系にはA2017以外にもA2024(超ジュラルミン)やA7075(超々ジュラルミン)といったさらに高強度な合金が存在します。,,
A2024はA2017と比較して、銅とマグネシウムの含有量が多く、より高い強度を持つ点が特徴です。そのため、A2024はA2017よりも強度と耐熱性が高いとされていますが、加工性と流通性にやや劣るという側面もあります。
一方、A7075はジュラルミン系の中で最も強度が高い合金です。これは亜鉛(Zn)を主な添加元素とし、さらにマグネシウム(Mg)や銅(Cu)を加えることで、極めて高い強度を実現しています。,A7075の引張強さは570N/mm²にも達し、これは焼き鈍しを施したSS400(一般構造用圧延鋼材)の強度(475N/mm²)を上回る値です。このため、A7075は航空機や競技用機材など、極限の強度と軽量化が求められる用途に用いられます。,しかし、A7075は耐食性や溶接性がA2017よりもさらに劣るというデメリットがあります。
A5056はA5052と同様にマグネシウムを主成分とする5000系合金で、耐食性と加工性に優れていますが、板材では製作されていないことが多いです。,,A5056は、A2017やA7075のような高強度合金とは異なり、中程度の強度と優れた耐食性が求められる用途に適しています。
このように、ジュラルミン系合金はそれぞれ異なる特性を持つため、用途に応じて適切な合金を選定することが重要です。

ステンレスや鉄との比較

A2017アルミニウム合金と、ステンレス鋼(例:SUS304)や鉄鋼材料(例:SS400)との比較において、最も顕著な違いは「比重(軽さ)」にあります。,A2017の比重は約2.79g/cm³であり、これは炭素鋼(約7.8g/cm³)やステンレス鋼の約3分の1程度に相当します。,,この圧倒的な軽さが、航空機や自動車部品など、軽量化が強く求められる分野でA2017が選択される大きな理由です。,,,
強度に関しては、A2017はアルミ合金の中でも非常に高く、場合によってはステンレスや鉄鋼材料に匹敵するほどの強度を発揮すると言われています。,,,,例えば、A2017-T4の引張強さ(425N/mm²)は、焼き鈍しを施したSS400の引張強さ(475N/mm²)に近い値を示します。,,しかし、一般的なステンレス鋼であるSUS304の引張強さ(約520N/mm²)と比較すると、A2017が常に優位とは限りません。
耐食性については、A2017は銅を含有するため、ステンレス鋼や多くの鉄鋼材料に比べて劣る傾向があります。,,,,,,,,,,特に湿潤環境や塩分を含む環境下では腐食が進行しやすいため、アルマイト処理などの防食対策が必須となります。,,,,,,,,,ステンレス鋼は、その名の通り錆びにくく、優れた耐食性を持つことで知られています。
加工性では、A2017は切削加工性が非常に良好であり、精密な機械加工に適しています。,,,,,,,,,一方、ステンレス鋼は加工硬化性が高く、切削加工が難しい場合があります。鉄鋼材料は種類によって加工性が大きく異なります。
溶接性に関しては、A2017は銅の含有量が高いため溶接には不向きとされており、溶接熱による割れや強度の低下のリスクがあります。,,,,,,ステンレス鋼や鉄鋼材料は、A2017と比較して一般的に良好な溶接性を持つものが多いです。
ネジやねじ部品においても、A2017は高強度が必要な用途に用いられることがありますが、耐食性を考慮し、表面処理や他の材料との組み合わせが検討されます。,,
総じて、A2017は軽量性と高強度、優れた切削加工性を兼ね備える一方で、耐食性や溶接性に課題を持つため、用途や環境に応じてステンレス鋼や鉄鋼材料との適切な使い分けが重要となります。

A2017アルミニウム合金の選定ポイント

A2017アルミニウム合金を選定する際には、その特性を最大限に活かし、かつ課題点を考慮することが重要です。まず、A2017の最大のメリットである「高い強度」と「優れた切削加工性」を活かせる用途であるかを確認する必要があります。,,,,,,,高い引張強度や硬度が必要な機械部品、航空宇宙部品、精密機器部品など、高い機械的性質が求められる場合にA2017は非常に有効です。,,
次に考慮すべきは、A2017の「耐食性の低さ」です。,,,,,,,,,,特に湿潤環境や塩害環境など、腐食の可能性がある場所での使用を想定する場合は、必ず適切な表面処理を施す必要があります。最も一般的な防食対策は「アルマイト処理(陽極酸化処理)」です。,,,,,,,アルマイト処理は、A2017の表面に人工的に酸化皮膜を形成することで耐食性を向上させ、外観を美しく保つ効果もあります。,黒アルマイトや白アルマイトなど、様々な種類があり、用途やデザインに合わせて選択可能です。
また、「溶接性の低さ」も重要な選定ポイントです。,,,,,,A2017は溶接による接合には不向きであるため、部品の接合方法としてリベット接合やボルト接合などの機械的接合を前提とする設計が求められます。,,,,
さらに、A2017は熱処理によって機械的性質を調整できるため、T4処理(焼入れ+自然時効)やT6処理(焼入れ+人工時効)といった調質も選定時に考慮すべき点です。,,,,
加えて、A2017は長物が反りやすい特性があるため、加工時や設計時にこの点も考慮に入れる必要があります。
これらのポイントを踏まえ、製品の使用目的、使用環境、求められる性能、加工方法、そしてコストを総合的に判断し、最適な材料選定を行うことが重要です。

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